斉藤範夫さん
2014.10 インタビュー
❝手創り弦楽器で音楽を❞
「文化の日」の11月3日(月)芸術館で手創り弦楽器フェアが開催される。これを主催するリーダー斉藤範夫氏(72歳)は、わが街の住人(12B)。ご自宅に「鎌倉山弦楽器工房」と標札し、その製作指導を行っている。素敵な住人のお一人としてお話しを伺った。
楽器製作はもとより、木工も音楽も素人の方を一から指導されている。しかし素材は、本場イタリア、クレモナからスプルース(もみ)、メープル(かえで)を取寄せ、製作は「魔性の楽器」と呼ばれるストラディバリウスを模しての本格派である。そして努力の末の自作の楽器は、自分で弾いてこそ意味があると、モーツアルト「アイネクライネナハトムジーク」の演奏が出来るまで導かれる。(ポスターをクリック。PDFで大きく見られます)
この師につかれて卒業を果した町内在住のお二人に聞いてみると、
♪文字通り音楽を楽しめる場所です。先生も面白く魅力的なお人柄です。弦楽器をつくることにより、無限の世界が広がり、豊かな老後を過ごせます。こんな雰囲気を味わいたい方は是非遊びにいらしたら如何でしょうか。藤井英雄(12B)
♪72歳の時、手作りヴァイオリンなんてとんでもないと思いつつ、誘われるまま工房を覗きに行き、見せて頂いた胴体用木材の木目の美しさに捕らわれたのがきっかけです。以前20年近く鎌倉彫をやっていたことが役に立ったようですが、何より、先生のご指導と、同じ目的のお仲間との日々に感謝しています。工房と自宅の近さにも助けられました。 清水晃子(12B)
お二人も、70歳代でチャレンジした自らの文化フロンティアの開発者といえよう。
斉藤さんのご経歴を紹介しよう。現職は東京銀座にある業歴50年に近いマーケティング専門会社の会長職を務められている。会社はピアニストであったお父上が創業され、仕事を共にされていたが、30代のころ、父上の示唆と一冊の本「 VIOLIN-MAKING AS IT WAS AND IS」
HERON-ALLEN著を手に入れたことによって弦楽器製作の道に入られた。音楽の専門教育を受けたわけでもなく、お父上の音楽遺伝子が導きとなっている。
そんな斉藤さんが描く音楽のイメージは、16世紀のヨーロッパ宮廷音楽で、ビヴァルディ、バッハ、モーツアルトが演奏されていた「宮廷ドーム」の世界であり、そこに活躍した弦楽器の姿のようだ。
30年以上前に自作されたチェロが「経年変化」によって最近では、満足に近い音色を生みだしてくれるようになったと、持ち出して弾かれた。その音を弾く醍醐味は、お好きなアルコールと共に満面の輝きとなった。 満足出来るチェロをあと3本ふやして5本にすること、「チェロ MAKING」の一冊を著すこと、そして自作弦楽器の仲間 「ターヘ楽団」と楽しく過すこと、この想いは高齢者の青春と呼んでいいだろう。
製作者から離れた後も、残された楽器が自ら「経年変化」を遂げてゆく歓びはまたとない歓びではないだろうか。町内のみなさん、ご自分のため、お孫さんのために弦楽器制作をお始めになりませんか。 (クリックで拡大写真)
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